オリジナル音楽の0から始める作詞講座

音楽
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◆はじめに

「作詞」はひとつの楽曲の方向性を決める大切な工程だと思います。

楽曲に対して言葉という生命を与えることで、リスナーに対してどんなメッセージを伝えたいか、あるいはその曲を聴いてどんな体験を与えたいかが決まります。

しかし、一言で「作詞」といっても、いろんな手法があります。今回は、これまでの私の経験を基に、私なりの知見や考えを紹介させていただきたいと思います。

◆「詞先」と「曲先」について

「作詞」は大きく2つの手法に分かれます。「詞先」はまず歌詞を書いて、その歌詞に合わせてメロディや曲を作る方法、「曲先」は、先に曲とメロディを作り、歌詞を当てる方法です。それぞれのメリットは一般的に以下のとおりと言われています。

・「詞先」:メロディの制約を受けず、自由にメッセージを発信できる

・「曲先」:印象的なメロディが生まれやすく、構成が明確なので完成が早い

「詞先」と「曲先」どちらがいいかということはなく、必要に応じた手法を選択すればいいと思います。急にメロディが浮かんだ時は「曲先」、印象的な言葉が浮かんだ時は「詞先」といった具合にです。

私、SUSHIROCKの場合はメロディを重視したいという想いがあり、9割が曲先で作成していますが、時に「詞先」で作成することもあります。

<「詞先」で作成した楽曲>ともだち / SUSHIROCK

◆「作詞」の自分なりの「スタイル」の選択について

「作詞」を始めると、ついつい「いい歌詞を書かなきゃ!」というプレッシャーを感じがちになってしまうのですが、私は「作詞」に最も大事なのは、「その曲にマッチした言葉を当てられているか?」だと思います。例えば、歌詞だけを見たら凄く素敵な内容だけれども、実際にメロディを当てて響きが加わるとそうでもなくなる・・・

なので、自分なりの「作詞」の「スタイル」や「ゴール」を決めなければ、いつまで経っても、自分で合格点を出せなくなってしまいます。

  1. とにかく言葉だけを見て感動する様な素敵な歌詞を書きたい
  2. 多少抽象的な表現になっても、響きを優先したい

私は、意味は解らずともカッコ良く聴こえる洋楽が好きで、その影響もあってかおのずと②の作詞スタイルになっています。この考えで作詞しているので、文字だけで見た時に少し違和感がある表現があったとしても「まあいいや」と及第点を出しますし、歌詞にふんだんに英語も取り入れます。

この様に大切なのは、自分が「作詞」において満足するための「スタイル」「ゴール」を設定することです。

<響き重視で作詞した楽曲>ツギノトビラ / SUSHIROCK

◆「作詞」の方法について

自分なりの作詞スタイルが決まったら、次は具体的な実施方法についてです。

今回は私が得意とする「曲先」のケースでご紹介させていただきます。

一般的なJ-POPは、Aメロ+Bメロ+サビという構成が大半です。

私は、まずサビから作詞することをお勧めします。サビというのはその歌の最も重要なパートであり、ここに最も伝えたいメッセージやおいしい響きを持ってくるべきです。

なので、サビで最も主張したいメッセージが決まれば、そこに至るAメロ、Bメロはそこにたどり着くまでの序章として、筋の通るストーリーを展開すれば良いのです。

次に、1番が出来たら、2番以降も考えなければなりませんが、実は1番が出来てしまえば、その曲の7割は完成したと考えても大丈夫です。特に洋楽では多いのですが、実はサビは全く同じ歌詞を何度も繰り返していることが多いです。

さすがに全く同じ歌詞の繰り返しは芸がない、と思われる方は、一番の歌詞を少しだけ変えるだけでもOKです。

響き重視で作詞する場合、逆に全く違う響きが曲の随所で登場するのはバランスが崩れるので、似た様な響きで統一した方が良いと私は考えています。

例えば、私の「これこそ新たな出発点」という楽曲の歌詞で見ると、以下の様に少しだけ変化をつけるイメージです。

(1番サビ)これこそ新たな出発点だね~

(2番サビ)今こそ新たな出発点だし~

<これこそ新たな出発点✨ -2022.Edition- /SUSHIROCK studio>

また、意識してやるといいのが、歌詞に登場する各フレーズの終わりの言葉で韻を踏む様にすると響きが締まります。例えば以下の歌詞の各フレーズは全て、「ね」「ね」「で」と母音が「え」で終わる様に工夫しています。

(1番サビ)

これこそ新たな出発点だね この先いろいろあるよね?

いつものルーティンのお茶飲んで

◆まとめ

改めまして、「作詞」はひとつの楽曲の方向性を決める大事な工程とまず意識しましょう。そのうえで、「詞先」「曲先」とその状況に合った方法を選択し、作詞の「ゴール」を、「歌詞重視」か「響き重視」かを決め、サビから少しずつ作詞を進めていくと進めやすいのではと思います。機会があれば次回は、英語での作詞について解説できればと思います。

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